Musashi-Denshi Factory Building in Itabashi
建築用途:工場
工事期間:2018年1月-2018年10月
階数:地上3階、地下1階
主体構造:鉄骨造
建築面積:187.6㎡
延床面積:728.6㎡
建設地:東京都
板橋区の住宅街に建つ電子部品の生産工場である。
近隣の戸建て住宅に対して、工場という大きなボリュームのため、
周辺環境に配慮した比較的柔らかなファサード面を構成できないかと考えた。
外壁材は亜鉛メッキ素地のガルバリウム波板鋼板を斜めに勾配をつけた鎧張りとし、
布をまとったような佇まいとなっている。
内部は、柱・梁・天井のH型鋼を現しとし、鉄骨造の柱のない空間とすることで、作業スペースを広く使えるようにした。
天井からすべての作業台やコンセントなどを吊り下げ、足元は何もない完全にフリーなスペースとして、
作業に自由度をもたせるようにしている。
構造はCLTパネルと鉄骨のハイブリッド構造である。
CLTパネルが構造であり、内装材であり、重量棚であり、環境装置でもある。
柱の座屈防止として水平力を一部負担すると共に、無機質な鉄骨フレームのインテリアに、木の温かみをもたらす。
また、パネルの厚みを活かして、電子製品を収納する重量棚となる。
さらに、湿度のコントロールが重量な電子部品の生産現場において、木材による調湿効果が期待できる。
災害時には、工場と近くの本社に勤務する約100人の社員が、一時的にこの場所に集まることができるよう、
一次避難所としての機能ももたせている。
周囲の住宅にも調和した建築は、地域の一企業が目指す、住民や住宅環境を守る一つの工場モデルである。
ここから生き生きとしたものづくりの空間が生まれることを願っている。