くまのわ

平成30年7月の、西日本豪雨の被災地である広島県熊野町につくる防災センターのプロポーザル。

私たちは地域コミュニティの核として「平時の賑わい」を創出することが、人々の防災意識を高め、災害に強い建物になると考えた。

建物は、中央の防災広場を囲うように主要諸室を設け、外部から広場を介してゆるやかにアプローチできる計画としている。それぞれの活動に適度な距離を保ちつつ、建物全体で一体感のある「賑わい」が生まれることを目指した。

各 諸室の床レベルを段階的に上げ、スロープでつなぐことで、バリアフリーに配慮しながら、建物内部への浸水リスクを回避できる。さらに、防災広場には、中庭を半屋内化する可動式の膜屋根を設けた。屋根機構は単純化を図り、災害時にも耐えうる構造とする。停電した場合でも手動開閉が可能である。

敷地につながる幹線道路は、車の往来が多く歩く道としては適していないので、センターの正面入り口を背後に設定し、また周辺の豊かな生態系が広がる「あぜ道」や「山裾の小道」を活かして、センターに続く、歩いて楽しい散策路のネットワークをつくる予定。

災害時には、この道が避難ルートとして機能する、避難路ネットワークとなる。この「くまのわ」の持つ小さな「わ」が、この地域の美しい散歩道を通して有機的に広がる、新しい地域のシンボルを提案した。