【WORKS】道の駅そらっと牧之原

©Kai Nakamura
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©Kei Sasaki
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用途:   道の駅(農産物直売所、飲食施設、トイレ・休憩施設)
工事期間:2024年4月〜2025年6月
階数:地上1階
主体構造:鉄骨造
延床面積:1,156.89㎡
建設地:静岡県

静岡県牧之原市は、日本を代表する茶の生産地。その広大で緩やかに連なる茶畑が織りなす風景のなかに建つ、同市で初めての道の駅である。

静岡空港に近く、道路交通インフラとしての機能を果たすだけでなく、牧之原市のPRや地域活性化の拠点としても位置付けられている。本プロジェクトでは、道の駅を地域の風景・歴史・生活文化と一体化させる、新しい空間として構想した。

設計の与条件として、内部の柱を極力なくすことが求められた。什器はすべて可動式で、季節ごとに商品や什器のレイアウトを変更するためだ。道の駅は地域の農作物・水産加工品などを販売する、ローカリティを象徴する建物である一方で、機能としては、フレキシブルなユニバーサルスペースが求められる。この地域性と普遍性という、相反する要素を両立させることが、設計のテーマとなった。


この敷地は茶畑に囲まれていて、南側には中世の池泉回遊式庭園跡とされる宮下遺跡が存在する。こうした文脈から、道の駅の敷地全体を一体的に整備し、人々が憩える緑地公園のような場所にしたいと考えた。中央に起伏のある芝生広場をシンボルとして設け、子どもたちが走り回り、斜面を使って遊ぶことができるようにした。広場を囲むようにして、西側から、飲食棟、農産物直売所棟、東側に、休憩・トイレ棟を分棟形式で配置した。分棟とすることで、各棟を巡りながら、敷地全体を散策する行為を促す。テラス状の休憩スペースや縁側ベンチを各棟の間に設置し、来訪者はこれらの「たまり」で、思い思いに時間を過ごすことができ、芝生広場で遊ぶ子どもを親が見守ることもできる。それぞれの建物の前面の屋根は大きくせり出し、連続した軒下空間は、道の駅全体を緩やかに繋ぐ「回廊」として機能している。

牧之原のローカリティを象徴する建築的な要素として、茶畑の霜取り柱を思わせる、細い柱が連立するヒューマンスケールな空間を設けた。また、「浮遊屋根」によって、内外を一体的に覆った。「浮遊屋根」は、茶畑の起伏をモチーフとして、地面からふわりと持ち上がるような軽やかさと伸びやかさを持たせた。円筒面として施工上の合理性を考慮しつつ、その切り取り方を工夫することで多様な軒下空間をつくり出すことを目指した。特に円筒面の直線方向に対して、曲率が大きい曲線で切り取ることで、屋根は柔らかく垂れ下がり、低い軒下空間が現れて、包み込まれるような雰囲気を醸し出す。他方、中庭に対しては、曲率の小さい曲線で切り取ることで、心地よい開放感が生まれた。「浮遊屋根」の稜線に柱や壁をおとさないようにすることで、稜線のエッジが強調され、内外の境界が消えていき、この屋根がどこまでも続いていくような普遍性を獲得できた。屋根の高さは、内部の機能から求められる高さと、隣の棟とのバランスでリズミカルに折り重なっている。「浮遊屋根」は周辺環境との連続性を保ちながら、内外の動線を視覚的にもガイドする。

この道の駅では、地域に根差した風景や歴史、文化といった地域性を取り込みながら、普遍的な空間を目指した。 

※高橋茂弥建築設計事務所との共同設計