【WORKS】代々木のオフィス1・2

©Kai Nakamura

【代々木のオフィス1】
建築用途:事務所
工事期間:2019年6月〜2020年1月
階数:地上3階
主体構造:RC造
建築面積:42.70㎡
延床面積:106.12㎡
建設地:東京都

【代々木のオフィス2】
建築用途:飲食店
工事期間:2019年6月〜2020年1月
階数:地上3階
主体構造:RC造
建築面積:58.51㎡
延床面積:141.3㎡
建設地:東京都

新宿駅にほど近い、大都市の中に近接して建つ二棟の小さなオフィスビルである。近隣は中規模の商業・オフィスビルやアパート、戸建て住宅などが混在して建つエリアである。クライアントは、小規模ながらも、遊び心があり、心地よく働くことができるオフィスビルをつくり、元気な中小企業を増やしていきたいという理想を持っている。

建物がひしめき合う大都市の限られた狭小敷地において、できるだけ多くの床面積・ボリュームを確保しながら、角地における建物の存在感と、街路空間との豊かな関係性をどう作るかが課題となった。

「代々木のオフィス1」は、建築全体が大きな鉢植えとなったような3層の建物である。道に沿うようにして、外壁の層間に建築と一体化した鉢植えを巡らし、色とりどりの花や緑が建物から溢れ出るように計画した。1階と2階のボリュームのズレにより生じるスペースには、梁を内包した帯状の鉢植え、その上には2階の庇にもなるカーブ形状の小さく分節された鉢植えを飛び出させ、小さな庭が建物を取り囲むような形になっている。室内にいると生命力あふれる植物が大変近くに感じられ、風に揺らぐ緑がインテリアの一部となる。厚みを持った植物たちの層が、内部空間と街路空間どちらに対してもここちよい環境を与え、独自の風景を生みだす。鉢植えのない外壁面は、淡く自然な色むらのあるレンガタイルで、建築全体に温かみを与えている。

「代々木のオフィス2」は、大きなトンガリ屋根を持つ3層の建物である。店舗としての活用も想定されたため、大きな気積と天井高さを確保できるよう、敷地を空へ向かって斜めに引き伸ばしたような、道路斜線制限を目一杯使ったボリュームとしている。内部は外形とは関係なく、およそ4mピッチで2枚の床を挿し込み、地上から順に四角形、五角形、三角形の断面を持った、天井高3.7~5.5mのゆったりとした室内空間を用意した。コンクリート造の屋根や外壁にはできるだけ大きく開口をあけ、街を感じられる窓やテラスや屋上庭園とし、東側の通りに対しては、モノリシックな閉じた外観とならないよう、屋根スラブを伸ばして、街路への顔となる大きな軒のあるテラスを設けた。内部を巡ると色々な方向に様々なスケールの街が感じられ、3階のテラスに出ると、大都市の中のエアポケットにいるように感じる。
街とのつながりが常に感じられるような狭小ビルのプロトタイプを提案した。