【NEWS】2022.3.2 UPDATE /「コムレジ赤羽/カフェテリアと4層リビングルーム」が竣工しました!

©Kai Nakamura

【カフェテリア】
用途:食堂
工事期間:2021年5月〜2022年2月
階数:地上1階主体構造:鉄骨造
建築面積:336.44㎡
延床面積:261.72㎡
建設地:東京都

赤羽駅からほど近い敷地にたつ、長谷工コーポレーションが手掛ける、共創型レジデンス「コムレジ赤羽」。「社会人棟」「学生棟」「賃貸棟」の3棟からなる大規模な複合施設である。コの字形に構成された本体棟(長谷工による設計・施工)の中庭に、3棟の住民が共用で使うカフェテリア棟と、学生棟の4層木化リビングルームを、私たちが設計・監理した。

カフェテリア棟は、社会人棟と学生棟をつないだ回廊状の空間が、そのままカフェテリアの空間となる。人の行き来する動線を溜まりの空間と兼ね合せることで、広い中庭を生み出した。カフェテリアは、中庭に面しておおらかな円弧を描き、それが社会人棟と学生棟をつなぐ縁側空間となっている。比較的高密度なレジデンスの中で、明るさと、緑を間近に感じることができる場所にするため、軽やかな波打つ屋根をかけ、中庭に対して開かれた建築とした。3棟のどの住戸の中から見下ろしても、シンボリックで親しみのある屋根であり、開放的でのびやかなイメージとなった。

連続した5枚の曲面屋根は、円錐面と円柱面のみで構成し、無理のない施工性を確保している。接続部から建物中央に行くにつれて平面・高さ方向ともに広がっていき、リズミカルな波打つ屋根による効果が相まって、適度な分節感と一体感、開放感をあわせ持った空間となった。ガラス面を矩形状に雁行させることで、様々なまとまったスペースを生み出し、ひとつながりの三角スペースが縁側に多様な場をつくる。軒と天井を形作る木ルーバーは、内外全体を包み、やわらかな変化とあたたかみをカフェテリア全体に与えている。

厨房や個室・シガールームといった閉じられた部屋は、中庭とは逆側に配置し、耐震コアとして機能させている。中庭に面した明るいカウンター席、天井高の高い場所に大テーブルなど、特徴の異なる場所を作ることで、多世代の人々が、自分に合った心地の良い居場所を選択できるようにした。


©Kai Nakamura

【4層リビングルーム】
用途:寄宿舎
工事期間:2020年12月〜2022年1月
階数:地上5階のうち、2〜5階の一部
主体構造:鉄筋コンクリート造一部木造(耐火木造)
延床面積:147.4㎡
建設地:東京都

長谷工コーポレーションによるRC造の耐火建築物に、4層の耐火木造を挿入するという試みである。学生棟の住民が共用で使うキッチン・リビングとして、木造の家の持つ温かさと、未来へ向かう明るく爽やかなイメージをめざした。構造は、柱梁に耐火認定部材を使用した、木造の軸組によるシンプルな架構である。耐火建築物であることから、層間区画は床スラブを伸ばしたスパンドレルとし、外部に面した二面は採光面を最大限確保した。スラブは階によって交互にせり出し、外部テラスとなっている。

内部は、個人で食事をしたり、みんなが団欒を楽しめたりできるよう、自由にレイアウト変更のできるフレキシブルな家具を置くこととした。集まって暮らす楽しさを体験できるような、大きなテーブルが中心に据えられ、距離を取りつつもお互いの顔を見ながら食事ができる。キッチンとは別に、シンク付のテーブルを設けることで、食事をする人と洗い物をする人が一緒に過ごすことができる。

耐火木造は長谷工にとっても初めての試みである。住棟として必要な遮音性能を確保できるか、同社技術研究所において実物のモックアップで遮音実験を行い、性能を検証した。耐火木造を建築の一部に挿入するという、RC造+耐火木造のハイブリッド建築として、今後の多様な展開を期待したい。